『田園の詩』NO.78 「スラップスケート」(1998.3.3)


 長野の友人からの年賀状では、雪が少なくてオリンピックが心配とのことでしたが、
直前の大雪で無事に開会式を迎えることができたようです。

 連日の競技をテレビで観戦していますが、期待どおりに日本選手がメダルを獲得す
るので、家中での応援の熱も上がりっぱなしです。

 特に小五の次男がオリンピックにハマっており、≪雪と氷≫のスポーツに滅法詳し
くなりました。南国九州では、滅多に見たり経験したりすることのない競技なので、
かえって興味を持ったのでしょう。

 ところで、南国九州といっても、雪と氷のスポーツができる場所が全くないわけで
はありません。わが大分県にも山間部の町にスキー場がオープンしていますし、各
遊園地はほとんどの所でスケートリンクの施設を持っています。

 でも、北国のように子供の時からウインタースポーツを楽しむ人はまだ少ないよ
うです。

 私が子供の頃には、そんな施設さえありませんでした。しかし、今と異なり、雪も
沢山積もったので、私達は外でよく遊んだものです。


    
    今年は二度このような雪景色になりました。すぐ解けるので雪の道
    を散歩することはできても、スケートリンクは作りません。まして、こけて
    ケガをしたら大変なので、そんなことはもうしません。中央、楽々堂の工房です。 
                 (09.1.10写)


 雪の積もった朝、登校するとすぐに運動場に出て、気の合った仲間同士で雪を踏み
固めてツルツルにしてスケートリンクを作りました。幅50センチ、長さ10メートル
位の今思えば他愛のないものですが、このリンクに走って横向きに飛び乗りクツの
まま滑ります。

 途中で止まる者、こける者、全部滑って喜ぶ者、様々でしたが、皆総じて上手でした。
今の子供達は私達ほど滑れないと思います。それは運動神経が劣るからではありませ
ん。クツが違います。現在のクツは底が分厚くてギザギザも多く、しっかり地面を捕え
る構造になっています。これではいくら氷の上でも滑りません。

 昔は皆ゴム底の擦り減ったクツを履いていました。オリンピックでよく滑るスラップ
スケートが話題になっていますが、私達もまさにスラップグツを履いていたのです。

 最も上手だったガキ大将のクツが一番ツルツルでした。 (住職・筆工)

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